はちみつを選ぶ基準の一つに、「何の花から採れたはちみつか」を重要視する方も多いと思います。
自然の中には多くの種類の花が咲いているのに、なんで一種類の花の蜜を集められるのか、不思議に思いませんか?
そこには、ミツバチの習性が関係しているんです。
単花蜜と百花蜜
一種類の花の蜜から採れたはちみつを「単花蜜」、これとは逆に数種類の花の蜜から出来ているはちみつを「百花蜜」といいます。
一般的に流通している単花蜜といえば、以下のようなものがあります。
- アカシア
- レンゲ
- クローバー
- みかん
- リンゴ
- そば
- 栗
ところで、日本でいうミツバチは、大きく分けて2種類に分類されます。
「二ホンミツバチ」と「セイヨウミツバチ」です。
二ホンミツバチは百花蜜しか作ることができず、セイヨウミツバチは単花蜜を作ります。
なぜ、セイヨウミツバチは自然の中に咲いている多くの花の中から、一種類の花の蜜を集めようとするのでしょうか。
そこには、セイヨウミツバチの「訪花の一定性」という習性があるのです。
自然界に咲く花の中にも、蜜をたくさん出すものと、そうでないものがあります。
きれいに咲き誇る花だからと言って、ミツバチが好むとは限りません。
おそらく、効率よく蜜を集めるために、蜜をたくさん出す花を好む習性が身についたのでしょう。
蜜がたくさん採れそうな蜜源を見つけると、蜜を吸いつくしたり、花が咲き終わる頃までは、みんなで同じ蜜源を訪問し、効率よく蜜を貯めていくのです。
では、ミツバチは一体どのようにして蜜源を見つけ、その情報を仲間と共有するのでしょうか。
ミツバチの視覚と嗅覚
ミツバチが蜜源を見つけるときに使っているのは、視覚と嗅覚です。
視覚は色を識別することができます。
と言っても、人間が見えている色と同じように見えるわけではありません。
花びらは紫外線を反射する器官を持っているのですが、人間には見えない紫外線をミツバチは感知することができるため、花を識別するのに役立っているようです。
また、ミツバチは人間と同程度の嗅覚を持っているようです。
ミツバチは触角に嗅覚器を持っていて、花のにおいを嗅ぎ分けます。
ミツバチにとって触角は、いろんな機能をもつアンテナのようなものなんですね。
ミツバチの8の字ダンス
では、そうして見つけた蜜源をどうやって仲間に伝えるのでしょうか。
「ミツバチの8の字ダンス」というのを聞いたことはありますか?
巣箱の上で8の字に飛んだり、巣箱の中で8の字に歩き回ったりする行動を指します。
この8の字の大きさや角度によって、巣箱から蜜源までの距離や方向を伝えているのです。
ミツバチにとって「いい蜜源」かどうか、まずはいろいろなところから蜜を持ち帰って試作をするんだそうです。
その結果、あまりいい蜜源ではない、ということもあります。
結果次第で、8の字ダンスの「元気度」に変化があるという話もあります。
蜜源は見つけたものの、あまり蜜を出すものではなかった、とか、おいしくなかった、とか、イチオシではない蜜源だった時にはその元気度はイマイチだというのです。
こうして、元気のいい8の字ダンスが示す場所を目指して、一斉に飛び出していくことができるわけです。
アイネクシオの生はちみつは、どんな蜜?
アイネクシオは、セイヨウミツバチと一緒に採蜜しているため、単花蜜を作ることができます。
ただし、狭い山梨県内でも、例えば同じハリエンジュ(ニセアカシア)の花が咲き乱れる場所で採蜜したとしても、食べ比べてみるとかなり違う風味に仕上がることが分かります。
これを全て「山梨県産 ハリエンジュのはちみつ」と言って同じラベルの商品にするのはどうなのか?という思いがあります。
ミツバチの行動範囲は半径3km程度と言われていて、その範囲を単一の花が咲く地域は見つからないでしょう。
いくら訪花の一定性という習性があったとしても、試作段階の蜜も集まってくるわけで、どうしても他の花の蜜は混ざってしまいます。
そのため100%単花蜜を作ることはできないと考えています。
そのことから、採蜜した場所の名前で商品化し「採蜜したまま、混ぜたりせず、熱も加えず、ろ過だけした生はちみつ」としてご紹介するのが一番自然なのではないか、と考えました。
今後も、新たな産地を増やしていきながら、いろんなタイプの生はちみつを皆さまにご紹介していきたいと、日々活動しています。
まとめ
はちみつを花の種類で区別しているものが多いのは、セイヨウミツバチは「訪花の一定性」という習性があるためでした。
ちなみに百花蜜しか作れない二ホンミツバチでも8の字ダンスをするそうです。
日本人はみんなで同じ行動をすることを好むのに、二ホンミツバチはダンスで情報を受け取っても別の花へ飛んでいく・・・。
なんだか人間とミツバチとでは、日本と西洋とが逆転しているように見えますね。