はちみつとメープルシロップは作り方も成分も全く違うもの
はちみつとメープルシロップ、見た目や使いみちが似ているため同じもののように思ってしまいますが、原料も作り方も全く違います。
今回はそれぞれの特徴をまとめてみましょう。

由来・作り方

似ていると思われがちな両者ですが、由来も作り方も全く違います。

はちみつ

ミツバチが花蜜を集めて巣に持ち帰り、食糧を蓄えるために巣穴に貯めていきます。
花蜜は水分が多く、およそ70%程度。
このままだと巣の中で発酵してしまうため、ミツバチは羽を使って風を起こし、水分を飛ばしていきます。

20%以下になったところで巣穴に蜜蝋で蓋をするのが完成の合図。
これではちみつの完成です。

メープルシロップ

サトウカエデなどの樹液を集めて煮詰めていきます。
樹液本来の糖分は2~2.5%。およそ1/40の量になるまで煮詰めてようやく完成します。
年間で2ヶ月程度しか樹液を採集できませんが、この2ヶ月の間にも樹液の糖分は下がっていき、当初の約半分程度になってしまいます。
そのため、後半に採れた樹液は長時間に詰める必要があり、色の濃いシロップに仕上がります。

メープルシロップは色の透明度でグレードが決められ、透明度の高いものほど効果とされています。

栄養素の比較

では両者と砂糖を加えた3者の栄養素を比較してみましょう。

  はちみつ メープルシロップ 上白糖
エネルギー(kcal) 294 257 384
炭水化物(g) 79.7 66.3 99.2
ナトリウム(mg) 7 1 1
カリウム(mg) 13 230 2
カルシウム(mg) 2 75 1
リン(mg) 4 1  
マグネシウム(mg) 1 18 Tr
鉄(mg) 0.8 0.4 Tr
亜鉛(mg) 0.3 1.5 0
マンガン(mg) 2

参考: 五訂増補日本食品標準成分表:文部科学省

  • ※表示される値は、可食部100g当たりに含まれる成分を表す。
  • ※分別定量が困難な食品を表す。

栄養成分表を見ると、カロリーはメープルシロップが一番少ない数値となっています。
そして、カリウム・カルシウム・マグネシウムなどミネラルについてはメープルシロップが一番高い数値を示しています。
メープルシロップも栄養面で非常に優れた食品と言えます。

標準成分表では分からない成分がある

ここまでの数値の比較をもとに、「はちみつよりもメープルシロップの方が優れた食品だ」と断定している情報が見受けられます。
しかし、この成分表では酵素に関する数値は確認することができません。

はちみつが持つ殺菌力や整腸作用、安眠効果や疲労回復効果などは酵素が関係しているものであり、最近の栄養学では酵素は非常に重要な位置づけになっています。
酵素は熱に弱い成分のため、煮詰めて作られるメープルシロップには酵素は含まれていないと考えていいでしょう。

そう考えると、やはり「はちみつよりもメープルシロップの方が優れた食品だ」と断定するのは、栄養成分の一部分しか見ていないと言わざるを得ません。

ダイエットに向いているのはどれ?

カロリーを比較すると一番低いのはメープルシロップ。

血糖値の上昇を示すGI値はデータによって数値が違うので何とも言えませんが、メープルシロップがおおむねはちみつより低いか同等。
甘味度はメープルシロップとはちみつが同等で砂糖の1.3倍。
となると、カロリーを基準に考えればメープルシロップに軍配が上がるところです。

ただし、生はちみつがダイエットに向いているのは「カロリーだけじゃない」ところ。
整腸作用・成長ホルモンの分泌・安眠効果などで体調を整えることで、結果としてダイエットにつながるというのが生はちみつの良さ。

その点を理解した上での使い分けができればいいのではないでしょうか。

使い分けのポイント

ダイエット目的の方には前述した通り、カロリー重視の方はメープルシロップ、体調管理重視の方は生はちみつ。

風味で選ぶなら、メープルシロップは香ばしい香りが特徴、はちみつは花の種類や産地の違いがあるのでその違いを楽しむ。

  • ※メープルシロップも色味の違いで風味もだいぶ違うようです。色の濃いものほど香りや味も強いようです。

お料理に使う際は、加熱調理の際はメープルシロップ、加熱しない料理の場合ははちみつ。
こんな風に、特徴を踏まえて使い分けるとそれぞれの良さを存分に楽しめると思います。

まとめ

こういう成分表って、どんなはちみつを使ってるんでしょうか。
それによっても違いが出ると思うんですよね。

成分表だけでなく、GI値だって花の種類によって違うという研究結果も出ています。
はちみつだけじゃなく、メープルシロップも同じように産地や季節によって違うのかもしれませんが・・・。