トレーニング後にプロテイン(たんぱく質)を積極的に摂取するのは常識となっています。
近年は、プロテインだけでなく、糖質も摂取することを推奨されています。
ポイントとなるのは、摂取するタイミングと糖質の種類です。
ここをおさえれば、同じ糖質摂取でも結果がまるで変わってきます。
プロテインだけでなく、糖質を補給する意味とは
トレーニング直後にプロテイン(たんぱく質)を摂取することは、アスリートの間では常識となっています。
その理由は、「傷ついた筋肉を補修するため」。
実はトレーニングは筋肉を強くする行為ではなく、筋肉を痛めつける行為。
傷んだ筋肉は、そのままでは弱くなってしまうため、補修が必要です。
そこで補修に必要となるのがたんぱく質。
傷ついた箇所を補修して、トレーニング前よりも強い筋肉にしてくれます。
つまり、たんぱく質の補給は、筋肉そのものの増強につながります。
では、糖質の補給にはどんな意味があるのでしょうか。
運動時のエネルギーとして、体内に蓄えられるのは3種類。
糖質・脂質・たんぱく質です。
そのうち、最も早いタイミングでエネルギーとなるのが糖質。
運動後すぐに燃焼し始め、私たちの身体を動かす燃料となってくれます。
トレーニング後に糖質補給する意味は、次回のトレーニング時のエネルギーになってくれるということなのです。
グリコーゲン不足が招く悪循環
摂取した糖質は、肝臓や筋肉の中に「グリコーゲン」という形で蓄えることができます。
グリコーゲンは運動時に素早くエネルギーとなってくれるスグレモノです。
体内にグリコーゲンがない状態でトレーニングをすると、エネルギー不足を招くわけですが、代わりにエネルギーとなるものが必要です。
有酸素運動をしばらく続けると、脂肪がエネルギーとなってくれるのですが、無酸素運動の際にも、有酸素運動の開始直後にも、脂肪はエネルギーになることはできません。
脂肪燃焼が始まるまでの間にグリコーゲンの代わりとなるのは、筋肉中の「たんぱく質」なのです。
つまり、身体を強くするためのトレーニングのはずが、筋肉中のたんぱく質を溶かしてエネルギーにするため、身体を弱めてしまうことにつながります。
だからこそ、トレーニングの事前にグリコーゲンを蓄えておく必要があるのです。
糖質摂取のタイミングは「ゴールデンタイム」
そこでポイントとなるのが、糖質摂取のタイミング。
実は、同じだけ糖質を摂取しても、体内にグリコーゲンとして蓄えられる量に違いがあるのです。
トレーニング直後というのは、身体を痛めつけられて栄養を必要としています。
そのため、摂取した栄養素を吸収するスピードと量が、通常時よりも大きいのです。
筋肉補修に必要なたんぱく質と、トレーニングで失われたグリコーゲンを、とにかく吸収するために必死な状態。
その時間は、トレーニング後15分~30分以内と言われています。
摂取した糖質は、グリコーゲンとして蓄えられない場合どうなるのか。
実は、糖質が吸収された時にと血液の中に溶けだし、血液中の糖度が上がる状態を「血糖値が上がる」と言います。
血糖値が高い状態が続くと血管に負担がかかるため、血液中の糖分を脂肪に変換して血糖値を下げます。
「甘いものを食べると太る」というのは、この現象が原因です。
トレーニング後のゴールデンタイムに糖質を摂取すると、血糖値が上がることなく、筋肉や肝臓の中にグリコーゲンとして蓄えられます。
その量は、通常時の2~3倍と言われています。
同じ糖質摂取でも、次回トレーニング時にすぐに燃焼されるグリコーゲンとして蓄えるか、なかなか燃焼しない脂肪として蓄えるか結果は大違いです。
吸収の早い単糖類が理想
トレーニング直後に、素早く糖質補給することの重要性は理解していただいたと思います。
糖質といえば、ご飯やうどん、パスタなどの主食となるものをイメージされる方も多いと思います。
事実、トレーニング後の糖質補給に、おにぎりを利用される方もいらっしゃいます。
ところが、素早くおにぎりを食べたとしても、消化吸収に時間がかかっては元も子もありません。
ご飯やうどんなどの主食となるようなものは、「多糖類」と言って、分解から消化吸収が緩やかなものなのです。
素早く吸収するためには、速やかに吸収される「単糖類」がお薦めです。
「ブドウ糖」「果糖」と呼ばれるものは、分解する必要がない状態の糖類であり、摂取すると速やかに吸収されます。
限られた「ゴールデンタイム」の中で、効率よく糖質を吸収するために、単糖類での摂取をお薦めします。
まとめ
ここでご紹介しているということは、もちろん生はちみつがお薦めということです。
はちみつの主成分はブドウ糖と果糖。
どちらも吸収の早い単糖類です。
それだけでなく、ビタミンB群も豊富に含まれているため、エネルギーを効率よく燃焼することを助けてくれます。
かしこく栄養補給することは、アスリートにとってトレーニングに励むことと同じくらい重要なこと。
ぜひ正しい知識を持って、目標に挑んでいただきたいと思います。